熊本県と大分県の県境、山道を抜けた先の杖立川の渓谷にある「杖立温泉」。古くから知られ、20世紀中ごろには「九州の奥座敷」と呼ばれるほど賑やかな温泉街として栄えたそう。、今でも往時の名残を感じる路地などがあり、映画のロケ地としても愛される独特の雰囲気をもった温泉街です。
「杖立」という地名は9世紀初めの頃、旅の途中で訪れた弘法大師空海(774~835年)が温泉の効能に感銘し、「杖をついて湯治にやってくる病人や老人も、帰る頃には杖を立てかけたまま忘れて帰る」と歌を詠んだことから名づけられたと言われています。その歌のように、杖立温泉は泉質の良さで湯治場として親しまれてきました。
杖立温泉の源泉は約98℃にもなり、この高温のお湯から生まれる湯けむりが、街のあちこちから立ち昇っています。お湯は無色透明で湯触りがやさしく、泉質は弱食塩泉。天然の保湿成分といわれるメタケイ酸を多く含み、保湿効果が高い「美肌の湯」としても人気があります。また、疲労回復や冷え性、関節痛などにも効果があると言われています。
杖立温泉では、この約98℃もある高温の蒸気を利用した蒸し湯が古くから有名。多くの旅館にも備わっているという蒸し湯は、通常のサウナより温度が低く、湿度が高いため、サウナより体にかかる負担が少ないと言われており、地元では「風邪をひいたらまずむし風呂」というほどに生活に馴染んでいるもの。頭からつま先まで湯けむりに包まれるため、全身の発汗や血液循環の改善を促す効果があると言われています。また町のあちこちにはその湯けむりを利用して卵や芋を蒸す光景も見られ、温泉の恵みを活かしたこの地域ならではの営みを感じられます。
杖立温泉を代表するイベントといえば「鯉のぼり祭り」。子どもの健やかな成長を願って、今では全国で5月の端午の節句に飾る鯉のぼりですが、その鯉のぼり祭りの発祥は杖立温泉だとも言われています。毎春、杖立川に3000匹以上の鯉のぼりが飾られ、多くの人々がこの鮮やかな景色を目当てに訪れます。
湯けむりに包まれながらレトロな雰囲気の温泉街を歩けば、温泉とともに生きてきたこの街の歴史と温かさを感じることでしょう。
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アクセス | 羽田空港→飛行機で100分→阿蘇くまもと空港→特急やまびこ号(バス)で60分→阿蘇駅→九州産交バスで90分→杖立温泉 |
電話 | 杖立温泉観光協会 TEL:0967-48-0206 |
URL | https://tsuetate-onsen.com |
※このページの情報は2021年06月の情報です。